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ブレイクスルーを起こす先端製品のご提案半導体・MEMS プロセス装置

MBEセル(蒸着源)

ヒ素、リン、腐食性材料用バルブドクラッカーセル

RIBER(リベール)

バルブドクラッカーセル

VACシリーズ、KPCシリーズ、VCORシリーズ

RIBER社製バルブドクラッカーセルは、蒸気圧が高く従来のエフュージョンセルでは取り扱いが困難であったV族材料(ヒ素、リン、アンチモン等)の固体ソースとして専用設計されたMBEセル(蒸着源)です。バルブドクラッカーセルは、リザーバー、バルブ、そしてクラッカーステージで構成されます。リザーバには大容量の原料が投入できるため、装置の成長キャンペーンタイムが大幅に向上します。また、バルブ機構によりビームフラックス強度を高速かつ広範囲に制御することができます。クラッカーステージでは、蒸着分子のクラッキングを行い、ウェハ表面への付着係数を変化させることができます。

SERIES LINEUP

シリーズラインナップ

製品特徴

ヒ素用バルブドクラッカーセル(VACシリーズ)

ヒ素用バルブドクラッカーセル(VACシリーズ)は、MBE装置のキャンペーンタイムを向上させるために大容量チャージが可能なヒ素蒸着源です。バルブ機構により、ヒ素フラックスを高速に遮断し、かつ広範囲なダイナミンクレンジでフラックス強度を制御することが可能です。ヒ素バルク原料をエピタキシーチャンバーから容易に分離する供に、従来のエフュージョンセルでは困難であった積層構造のエピタキシャル成長を実現可能にします。
 
VACシリーズは、リザーバー、バルブ、そしてクラッカーステージで構成されます。
リザーバーは原料投入部になります。金属ヒ素をコンフラットフランジを介してリザーバータンク(ルツボ)に充填します。リザーバー外周は常時水冷されています。リザーバーの温度はルツボ内のヒ素原料の蒸気圧を制御します。バルブはヒ素蒸気圧のコンダクタンスを制御し、所定のリザーバー温度において、3桁のダイナミックレンジでヒ素のフラック強度を変化させることが可能です。開閉サイクルにおいてバルブ位置は変化しないため、所定のリザーバー温度に対して、MBEプロセスにおける成長レートの再現が可能になります。
バルブはリザーバータンクの下流に位置し、トランスファーチューブに流れるヒ素分子量を精密に制御することが可能です。バルブは高温のクラッカーステージから熱的に隔離された設計のため、バルブの低温動作を可能とし、瞬時のスタートアップと長期的なフラックス安定性を保証します。バルブはバルブコントローラにより自動制御されます。
 
蒸発したヒ素分子(As4)は、タンタルフィラメントにより加熱されたトランスファーチューブとクラッカーステージに入ります。クラッカーステージは、設定温度によりクラッキングしたヒ素分子(As2)、或いはクラッキングしないヒ素分子(As4)のビームフラックスを生成します。クラッカーステージ先端に取り付けられたディフューザーを最適化することにより、基板上に均一なビームフラックスを供給することが可能となります。
 

適用蒸着材料

As

特徴

・簡便な再充填、メンテナンス作業
・長期の成長キャンペーンを実現するために最適化されたセル設計
・優れたフラックス均一性により高品質なエピウェハを実現
・再現性の高い精密なヒ素フラックス制御
・大容量チャージ

 

バルブクローズ開閉時のレスポンス時間及びフラックス強度変化

 

VACシリーズ概要図

製品スペック表

セルモデル VAC500 VAC3K VAC6K
ヒーターフィラメント ワイヤー フラットホイル
+ワイヤー
ワイヤー
熱電対タイプ Cタイプ
リザーバ容量 500 cc 2900 cc 6000 cc
取付フランジ径 CF40 CF63 CF100
リザーバー標準動作温度 400 ℃
温度安定性 ±0.2 ℃
バルブ仕様  
バルブアクチュエータ マイクロメータードライブ
ステムストローク 1.5mm 10 mm 2 mm
クラッカーステージ仕様  
最大アウトガス温度 1250 ℃
最大消費電力 300 W 400 W 1200 W
リザーバー仕様  
最大アウトガス温度 550 ℃
最大消費電力 300 W 570 W 640 W
水冷接続 スェージロック φ6mm メス
冷却水スペック 最小流量 0.5 l/min、最大圧力7 bar
備考)
※1.  製品スペック表に記載があるのは一部のモデルです。詳しくはダウンロード資料をご参照下さい。   
 
 

リン用バルブドクラッカーセル(KPCシリーズ)

リン用バルブドクラッカーセル(KPCシリーズ)は、RIBER社の特許取得済みのプロセスに基づき、安全かつシンプルなリン蒸着源として設計されています。チャージした市販の高純度赤リンから白リンを生成し、その高い蒸気圧を利用して非常に安定したリン(P2)のビームフラックスを生成することができます。フラックスは、再現性よく高速かつ精密に制御することでき、InP、GaInP、GaInAsP.などのP含有層のエピタキシャル成長を可能にします。
 
KPCシリーズは、リザーバー、バルブ、クラッカーステージの3つの主要パーツで構成されています。リザーバーは2つのサブアセンブリ(エバポレーターとコンデンサー)から構成されます。エバポレーターはコンデンサーの内部に設置され、原料である赤リンの投入部となります。赤リンの装填後、エバポレーターを蒸発温度まで加熱し、リンの四量体(P4)を生成させ、白リンをコンデンサー内壁に凝縮します。
 
コンデンサーはエバポレーターを取り囲み、フラックス制御バルブに接続されます。コンデンサー外周に設置されたサーマルエンクロージャにより、コンデンサーを加熱(通常60~100°C)し、白リンを再蒸発させます。コンデンサーとクラッカーステージの間にはオールメタルバルブが設置されています。マイクロメータのバルブ機構により、リンフラックスを精密に制御します。バルブは全閉位置では完全リークタイトのため、MBE装置を大気開放せずに材料の再充填が可能となります。
 
クラッカーステージは、Taフィラメントによって加熱され、リンを四量体(P4)から二量体(P2)へ効率的にクラッキングすることが可能です。熱電対により、クラッカーステージの温度を常時モニターします。また、成長室の熱負荷を軽減するため、クラッカーステージ周りに独立した水冷パネルを設置することも可能です(オプション)。
 

適用蒸着材料

P

特徴

・装置ベント不要な原料再チャージ
・ゼロバースト設計(RIBER社特許取得)
・3ゾーン温度制御コンセプト
・Pフラックスの高速かつ精密な制御
・容量250ccから6000ccまでの幅広い製品群
・低いコンデンサー凝集温度による白リンの安定化

KPCシリーズ概要図

 

製品スペック表

セルモデル KPC250 KPC1200 KPC6000
ヒーターフィラメント ワイヤー ワイヤー(エバポレータ)
フラットホイル(クラッカーステージ)
熱電対タイプ Cタイプ
リザーバ容量 250 cc 1200 cc 6000 cc
取付フランジ径 CF40 CF63 CF100
バルブ仕様  
バルブ構造 シングル ダブル
バルブアクチュエーター マイクロメータードライブ マイクロメーター回転シンブル
標準動作温度 80 ℃
クラッカーステージ仕様  
最大アウトガス温度 1300 ℃
標準動作温度 850~900℃
最大消費電力 500 W 1050 W 1500 W
温度安定性 ±0.5 ℃
リザーバー仕様  
ロードポート CF63 CF100 CF200
エバポレーター/最大アウトガス温度 550 ℃
エバポレーター/標準動作温度 350 ℃
エバポレーター/最大消費電力 60 W 240 W 300 W
コンデンサー/最大温度 70 ℃ 120 ℃
コンデンサー/標準動作温度 50 ℃ 60 ℃
コンデンサーヒーター
(サーマルエンクロージャー)
240VAC/200W 240VAC/400W
温度安定性 ±0.5 ℃

 

腐食性材料用バルブドセル(VCORシリーズ)

腐食性材料用バルブドセル(VCORシリーズ)は、腐食性または高蒸気圧材料向けに設計されたコンパクトなバルブドセルです。円柱形のルツボ形状で110〜3000ccのチャージ容量に対応しています。原料の形状としては、インゴットの他、チャンクやペレットも使用可能です。
 
バルブ機構は、1桁以上のダイナミックレンジでビームフラックスを精密に制御し、バルブを閉じることでフラックスを完全に遮断します。リザーバーおよびティップは独立して加熱制御されることで、フラックスの流路が温まり、材料の目詰まりを防止します。材料チャージは、セル取付けフランジのガスケット交換のみを必要とします。バルブ部をオールPBN製にすることにより、プロセス蒸気の流路において金属は一切使用されていません。
 
セルの外周はMBE装置への熱負荷を低減するため水冷されています。バルブはバルブコントローラーによって完全自動化されており、非常に再現性の高いフラックス制御を実現可能とします。また、バルブコントローラは安全に動作を行うために、特許取得済みのProSafe®を備えており、バルブトルクを厳密に管理することにより、PBN表面を過度のストレスから保護しながらPBNバルブの密閉性を確保します。
 
VCORシリーズは、赤外線アプリケーション等で用いられるSb含有の混晶V族のエピタキシャル成長において優れたの組成および均一性を実現することが可能です。また、MgドーピングやZnSeレーザーファセットのパッシベーション用途としても高いパフォーマンスを発揮します。VCORシリーズは、コンパクトな設計ゆえ、多種多様なMBE装置に適用することが可能です。
 

適用蒸着材料

Sb、S、Se、Te、Mg、Zn、CdTe、ZnTe、ZnSeなどの腐食性物質

特徴

・再現性の高い精密なフラックス制御
・110ccから3000ccまでフルリザーバー充填可能
・バルブ部含めたオールPBN設計により材料の目詰まりを防止
・優れた混晶V族組成、均一性を実現

VCORシリーズ概要図

製品スペック表

セルモデル VCOR110 VCOR300 VCOR3000
ヒーターフィラメント ワイヤー
熱電対タイプ Cタイプ
リザーバ容量
(インゴット形状)
110 cc
(φ20 X 350 mm)
280 cc
(φ31 X 370 mm)
2950 cc
(φ95 X 417 mm)
取付フランジ径 CF40
(CF63 水冷パネル付)
CF63
(CF100 水冷パネル付)
CF150
(CF200 水冷パネル付)
リザーバー標準動作温度 450~550 ℃
ティップ標準動作温度 750~900℃
温度安定性 ±0.3 ℃ ±0.1 ℃
バルブ仕様  
バルブアクチュエータ マイクロメータードライブ
ステムストローク 2mm 2.5 mm 5.1 mm
ティップ仕様  
最大アウトガス温度 1000 ℃
最大消費電力 280 W 200 W 880 W
リザーバー仕様  
ロードポート CF63 CF100 CF200
最大アウトガス温度 750 ℃ 1000℃
最大消費電力 500 W 450 W 2200 W
冷却水スペック 流量 0.3 l/min、最大圧力4 bar 1.5 l/min、最大圧力4 bar
 
 

分子線エピタキシャル法の原理

分子線エピタキシャル法による分子線エピタキシー(MBE)は、エフュージョンセル(クヌーセンセル等)内のるつぼに入れた原料を加熱蒸発させ、基板上に到達させて結晶成長(エピタキシャル成長)を行う真空蒸着法の1つです。加熱蒸発の方法には抵抗加熱方式や電子ビーム照射方式などがあります。MBE は真空蒸着法の1つですが、MBEの特徴としては、チャンバ内を真空に引き,チャンバの周りを液体窒素で冷却することによってチャンバー圧力を高真空状態(~10-9torr 程度)に保ち蒸着を行うため、蒸発ガ ス分子の平均自由工程が長く、ガス分子はビーム状の分子線となって他の分子に衝突することなく基板表面に到達します。超高真空下にて成膜を行うため、残留ガスの影響を少なく抑える事ができ高品質の結晶膜が得られます。また膜厚の精密な制御も可能です。さらに RHEED(反射高速電子回折)等の結晶モニター等を用いて in-situ でモニターしながら、結晶成長条件へフィード バックすることが可能であり、このMBEの優れたフラックス制御性、界面の組成が原子レベルで急峻な組成を作製することができる為、化合物半導体デバイス向け結晶成長などに用いられます。

    

Item# Description
a メインクライオパネル(シュラウド)
b セルデバイダー
c プラテンマニュピレーターおよびクライオパネル
d 液体窒素フィードスルー
e 分子線セル(蒸着源)
 
 

製品メーカー案内

RIBER
 
RIBER社(フランス)は、1964年に設立された分子線エピタキシャル成長装置(MBE装置)およびコンポーネント(MBEセル・蒸着源)を製造・販売する世界シェアNo.1のサプライヤーです。
 
これまで主にGaAsやInP、GaN等の化合物半導体材料の成膜用途として累計約800台の装置を世に送り出してきました。現在、世界の主要大学や公的研究機関、デバイスメーカー、エピファウンドリー各社がRIBER社のMBE装置を運用しており、データ通信、5G/6G、VCSELレーザー、フォトニクス、センサー、3Dセンシングなど様々な最先端分野の研究または生産ツールとして貢献しています。
 
日本国内では、伯東株式会社が総代理店として、同社製品の販売と保守サービスを提供しております。

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